m3に掲載したPICCの記事に関して、以下のコメントをいただきました。m3紙面上では字数制限がありますのでブログで御返事させていただきます。御参照いただけましたら幸甚です。

いただいたコメント⇒スライド拝見いたしました。興味深い症例を示してくださりありがとうございます。たいていはうまくいくと思うのですが、SVCにうまく進まない場合はどうするのでしょうか。透視を使わないとなかなかSVCに進まない症例はたまにあります。

御返事:

まずご質問の主旨は『透視を使わないとなかなかSVCに進まない』ということですが、仰られるとおり確かに透視の方が視覚的に引っかかっている場所や原因を特定するための情報が得られ、SVCに進めやすいと考えます。ただ在宅のエコー下でも、透視ほどではありませんが視覚的な情報が得られ、ある程度慣れれば透視との差は縮まると思っています。また下記のようなPICC挿入時の一般的なポイントを押さえる事で、SVCへの挿入も上手くいく可能性が高まると考えています。

SVCにPICCが上手く進まない場合の解決策としていくつかのポイントがあると思います。

【挿入スピード】PICCは非常に細く柔軟性の高いカテーテルですので、血流に乗せてゆっくり進めること(1cm/秒)で自然とSVCに挿入することが出来る可能性が高くなります。

【体位】PICCの刺入部が肘静脈の場合、できるだけ尺側にカテーテルを進める事、またカテーテルを進める際に刺入した上肢をバンザイしているように挙上する事が重要と考えます。そうする事で腋下静脈~鎖骨下静脈~SVCまでの血管走行が一直線に近い形になり、またカテーテルの挿入の抵抗を軽減することにもなり、SVCにスムースに進めることができます。カテーテルが鎖骨下静脈内を進んでいくのをレントゲン透視あるいはエコーで視認・捕捉しながらゆっくりと進めていき、胸鎖関節の手前で顔を刺入している側に向けて、頚部を前屈させる事で内頸静脈への誤挿入を回避します。(例えると、バンザイした上肢の腋の臭いを嗅ぐポーズです)

上肢を挙上した場合、『腋下静脈~鎖骨下静脈~SVCまでの血管走行が一直線に近い形』なるというのをレントゲン・CTでお示しします。この症例は在宅でPICC挿入した際、逆血が確認できなかったため、やむなく病院でレントゲンで確認した時のものです。(この方は多発性肺癌を併発しています。)

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以上がPICC挿入時のポイントと考えます。それでも挿入できない場合は他のアプローチを選択検討しなければいけないのかもしれません。私自身、まだ実施症例が少なく、豊富な経験のある先生方のご意見を頂戴できましたら幸甚です。宜しくお願い申し上げます。

さくらホームケアクリニック 院長 久保雅弘

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