2012年3月17日に東京で開催される第14回日本在宅医学会大会において3つの演題を発表いたします。

③在宅における持続硬膜外ブロックが奏効した難治性癌性疼痛の1例 

今回我々は、オピオイドおよび鎮痛補助薬による疼痛コントロールが困難であった癌性疼痛に対し、持続硬膜外ブロックが奏効し良好な疼痛コントロールが得られた症例を経験したので報告する。

症例:77歳女性、直腸癌による所属リンパ節転移、腰椎(L5)・左仙骨・左大腿骨頚部に骨転移を認め、左大腿骨は病的骨折も併発していた。前医にて低位前方切除術および腰椎転移に対して放射線療法(30Gy)を施行。麻痺性イレウスを繰り返すため術後化学療法は断念し、在宅緩和ケア目的で当院に紹介となった。

経過:疼痛に対して前医によりすでにNSAIDs・オピオイド・アミトリプチニンおよびレスキューが投与されていたが、疼痛コントロールは不良であった。当院での訪問診療開始後、オピオイドの増量・ガバペンチンの追加投与にて疼痛コントロールしていたが、骨転移による右下肢・腰部の激痛が出現。頻回のレスキューの使用でも鎮痛できなかったためジブカインによる腰椎麻酔を実施、除痛することができた。長期的な疼痛コントロールの目的でロピバカインと少量のモルヒネによる持続硬膜外ブロックを施行し、ほぼ完全な鎮痛を得た。オピオイドを減量したところ、持続硬膜外ブロック施行前にみられていた傾眠および麻痺性イレウスの再発は消退した。永眠されるまでの約3ヶ月間、持続硬膜外ブロックの併用により良好な疼痛管理が可能であった。

考察:硬膜外ブロックは強力な鎮痛効果を得られ、オピオイドの副作用を軽減しうる。硬膜外ブロックの短所・リスクを考慮した上で適応症例を選択し、長期の硬膜外カテーテル留置に伴う感染やQOLの低下などに十分な配慮を行えば、がん性疼痛管理法として非常に有効な手段であると思われた。
 
さくらホームケアクリニック院長 久保雅弘

(追伸)クリニックの向上を目指し、新しい情報を貪欲に入手してきます!!

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